不器用オオカミとひみつの同居生活。


「おいしー」

「そりゃ良かったな」

「花平くんも買えば良かったのに」

「んなさみーのに食ってられっかよ」


たしかにこの天気のせいで肌寒いけど、それとこれとは話が別。

冬のアイスがおいしいのと一緒。

寒い日のかき氷もおいしいのだ。


神社の濡れていない階段に腰かけてかき氷を食べる。


ただし食べてるのは私だけ。

花平くんは隣で、それこそ冷たい視線を送ってきている。



「だって夏らしいこと全然できなかったし……」

「まだ7月だろ」


ズバリと、的確なツッコミが入った。


たしかに7月だけど、夏休みの予定はほとんど入ってない。


来週にある花火大会、すうちゃんもこっちゃんも用事があっていけないんだって。

だから悲しかったけど、私もその日はバイトを入れた。


一瞬花平くんと行こうかなんて考えが頭をよぎったものの、絶対についてきてくれるわけがないし。


けどこうしてお祭りに付き合ってくれてるんだから、本当に何があるかわからないと思う。


< 185 / 403 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop