不器用オオカミとひみつの同居生活。
「おいしー」
「そりゃ良かったな」
「花平くんも買えば良かったのに」
「んなさみーのに食ってられっかよ」
たしかにこの天気のせいで肌寒いけど、それとこれとは話が別。
冬のアイスがおいしいのと一緒。
寒い日のかき氷もおいしいのだ。
神社の濡れていない階段に腰かけてかき氷を食べる。
ただし食べてるのは私だけ。
花平くんは隣で、それこそ冷たい視線を送ってきている。
「だって夏らしいこと全然できなかったし……」
「まだ7月だろ」
ズバリと、的確なツッコミが入った。
たしかに7月だけど、夏休みの予定はほとんど入ってない。
来週にある花火大会、すうちゃんもこっちゃんも用事があっていけないんだって。
だから悲しかったけど、私もその日はバイトを入れた。
一瞬花平くんと行こうかなんて考えが頭をよぎったものの、絶対についてきてくれるわけがないし。
けどこうしてお祭りに付き合ってくれてるんだから、本当に何があるかわからないと思う。