不器用オオカミとひみつの同居生活。


しゃくしゃくとかき氷を食べ進める。


またすこしずつ雨が降りはじめた。

私が傘を差そうとすると、さりげなく花平くんが持ってくれて。


ビニールに弾かれた雨粒が、ぱちぱちと音を立てている。



やっぱり見られてるんだよなぁ。


じっと観察するように見てくるのは、無意識?

花平くんの癖?


居心地が悪いわけではないけど、私の食べ方汚くないかな。


かき氷を落とさないように手元を見つめながら口に運ぶ。




「えーっと……

問題です!私は何味が好きでしょう」


「どーでもいい」


場つなぎのつもりだったクイズも、いともあっさり斬り捨てられた。



「……それじゃねーの」


花平くんがあごで指したのは、私の手の中にあるかき氷。

ピンク色のシロップがかかっているこれは、イチゴ味だった。



「ぶっぷー。違いまーす」

「なんか腹立つわ」


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