不器用オオカミとひみつの同居生活。
「イチゴも好きですけど、一番基本の味が好きなんですよね」
さっきの屋台では置いてなかった。
もしかしたら、あんまり人気の味ではないのかもしれない。
もう花平くんは答える気はないみたいで、空模様を確認していた。
仕方がないから少し早めの答え合わせに移る。
「私が好きなのはみぞれ味です」
「ふーん」
「透明だから、舌も染まらないじゃないですか」
「へー」
いくらなんでも空返事すぎる。
ちいさくむくれて、かき氷を口に入れた。
「だってほら、イチゴはこんなにもピンク色になってる」
やけくそで舌を見せると、それまで空を見ていた花平くんが私を見て……
「……へぇ?」
声色がはっきりと変わった。