不器用オオカミとひみつの同居生活。
「……間接キス」
「今さら気にするよーなことでもなくね」
あっけらかんとしてるけど、私はじわりと熱くなる顔を手で隠した。
間接キスもあれだけど、
……さっきの舌出しが
思った以上に、じわじわ胸にきた。
バカ面どころか、なんか……
え、エロかったんですけど……
「つーかそれ甘すぎ」
甘いのはどっちだ。
いつか花平くんに呑まれてしまいそうで、
呑まれないように
必死になるほど空回ってしまう。
溺れないように
意識すればするほど沈んでしまう。
「……なに、これ」
次の日、くつばこに入っていた一枚の写真と紙切れ。
気付いた時にはもう水の中に沈んでいて。
────『花平綾人に近づくな』
息ができなくなっていた……
なんてことも、あるのかもしれない。