不器用オオカミとひみつの同居生活。
嫌がらせはそれだけにとどまらず、むしろ頻繁に起こるようになった。
まず、身の回りのものがよく無くなって。
1日でも学校に置き忘れたりしたら、教科書がなくなっていたことも。
それだけならよかったんだけど、
「わっ……!」
すうちゃんとこっちゃんと階段を降りていると、後ろからだれかに押されたこともあった。
「か、カヤっ!!大丈夫!?」
「なんとか……」
踊り場にへたり込んで、階段を見上げる。
誰もいなくて、それが余計に怖くて。
こっちゃんの手を借りて立ち上がった。
「カヤちゃん。膝、擦りむいてる。それだけですんでよかったね」
「うん……」
膝はひりひりして痛かったけど、まだ運がよかった。
もうすこし高さがあったら、これくらいじゃすまなかった。
見えない誰かにおびえながら、どんどんエスカレートしていく嫌がらせに耐えるしかなかった。