不器用オオカミとひみつの同居生活。
「あれ、これ不自然だね。どうしたの?」
いち早く気付いたのは、刈谷先生だった。
体調があまり優れなくて訪れた病院。
診察も終わろうとしていたとき。
先生は私の腕にある痣を見て、目を鋭くさせた。
「結構、強く打たなきゃこんな内出血ならないけど」
「倉庫の片付けをしてたら、いつの間にか」
あいかわらず嫌がらせは続いていて、これもそのときにできたであろう怪我だった。
幸いにも顔は無事だから、なんとかごまかすことができる。
「倉庫?」
「はい、学校の倉庫です。えっと…先生に頼まれちゃって」
「その膝のも?」
階段から落ちたときの擦過傷は、治りが悪くていまだに痛々しかった。
あれ以来、階段から落とされることはなかったけど……
「実はそうなんです」
「僕の知るカヤちゃんは
そんなドジ踏まないはずだけどなぁ」
「最近、調子悪くて」
「……まぁたしかに貧血の症状も出てるし、もしかしたら疲れてるのかもね。しばらくの間バイトは控えなよ。薬のほかに湿布も出しておこうか?」