不器用オオカミとひみつの同居生活。
震えるその身体を自分のほうに引き寄せた。
背中に控えめに回された手は、すぐにぎゅうと固められる。
「お前はコアラか」
返ってくるのはひゅうひゅうという呼吸音のみ。
息が整うまで、背中にやった手を軽く動かす。
とん、とん、と俺まで眠くなるような振動が茅森越しに伝わってくる。
「ぐすっ……ひっく……、なんでいくの……っ」
顔をうずめる茅森がどんな夢を見ているのか、考えたことがないと言えば嘘になる。
こいつも何かしらの問題を抱えていることはなんとなく分かっていた。
じゃないとこんな危ないヤツ拾わねーわな。
なあ茅森。
俺が来るまでお前はどうしてた?
ずっとひとりでこんな夜を過ごしていたのか?
誰にも縋ることができない孤独な夜を。
「いかないで……」
不安定な呼吸音、定期的な振動。
「……いかねーよ、どこにも」
目を閉じれば、遠くでまた雷鳴が轟いた。
辺りがうっすら明るくなるまで、それは止むことを知らない。