不器用オオカミとひみつの同居生活。
陽向は何もしなくても、褒められる。
「お母さん!見て、また賞状もらったよ」
「あら、良かったじゃない!」
私も最初のうちは、何かをしたら褒められていた。
一瞬だけど、その目はすぐに陽向を見るけど、
すごいねって頭を撫でてくれるから。
もっと頑張ったら、そのときは私も見てくれる。
だから勉強も頑張った。
自分の名前も上手に書けるように頑張った。
家のお手伝いも率先して頑張った。
……運動だけは苦手だったけど。
それでもできることは何でも頑張っていたのに。
「お母さんお母さんっ、作文で賞状もらったの!」
「そう」
そのうち私は何をしても褒められなくなった。
見向きすらされなくなってしまった。