不器用オオカミとひみつの同居生活。
彼を見ているとなぜかミケを思い出してしまう。
一週間もすると、お腹を出して部屋の真ん中で寝ていたミケ。
実は三毛猫じゃなくてサビ猫だったミケ。
最後の最後まで私にだけ懐かなかったミケ。
「元気にしてるかなぁ」
私はドライヤーのスイッチを止める。
コンセントはまだ抜かなかった。
「よければついでに乾かしましょうか?」
どうせ拭いてないんだろうから、一応聞いてみただけだった。
そこまで世話を焼く必要はないし、彼が賛成するとも思えない。
……そう高をくくっていたから。
本当に目の前に来たときは、ちょっと驚いた。
「失礼します」
と、断りを入れてからそっと彼の髪の毛に手を伸ばす。
思った以上にさらさらしていて、やわらかかった。
手触りのいい金髪はもうそれほど濡れてない。
背中に広がる星の数をかぞえながら、勝手にそれらをつなげて星座をつくる。
真ん中にできた大きなそれを私は不良座と呼ぶことにした。