不器用オオカミとひみつの同居生活。
「花平くんは本当に無頓着ですね」
なかなか帰ってこないから探しに行ってみれば、これだ。
バスタオルで頭を拭く花平くんは、さっきまで公園にいた。
というかベンチで寝ていた。
ゲリラ並みの雨が降り注いでいるのにのんきに寝ていたから、あわててたたき起こしたのだ。
「……優」
「はい?」
「俺とお前、足したら優になる」
突然のことで、リアクションすらできなかった。
少し遅れて、名前のことを言ってるんだって気付く。
憂と、……花平くん?
花平くんの名前は、綾人。
……なるほどね。
「花平くんらしくないですね」
「自分でも思った」
「気休めなら間に合ってます」
「そんなんじゃねーよ」
「じゃあ何なんですか!」
違う、声を荒げたいわけじゃない。
八つ当たりだってわかっていても、この気持ちをどこかにぶつけないと気が済まなくて。