不器用オオカミとひみつの同居生活。
お母さんの言葉に私はあわてて首を横にふった。
「ち、違うよ。花平くんは、えっと……」
ちらりと花平くんを見る。
向こうも私のほうを見ていた(正確には見下ろしていた)。
なんて言うつもり?って目が言ってる。
そこにはいつもの意地悪さも含まれているようで。
「…………お友達」
「へぇ」
花平くんの返事はそれだけ。
それでもお母さんは、何か言いたげに私たちの間へと視線を注いだ。
つながれたままの手。
気付いていたけど離さなかった。
「とりあえず上がりなさい。ここじゃゆっくりできないでしょう」
「ううん、ここでいい」
長居するつもりはなかったし、たぶん私の心ももたない。
「今日は聞きたいことがあってきたの」
「聞きたいこと?」
そうだよ。
ずっと聞きたかったこと。
「ねえ、お母さんたちは私のことをどう思ってるの?」
十数年の思いは揺れながら、
震えながら…
それでも私の中から飛び出してきた。