不器用オオカミとひみつの同居生活。


「私のこと、どう思ってるの」


お母さんは表情を苦しげに歪めるだけ。

思えば、いつもお母さんは苦しそうにしていた。


こんな顔をさせているのは、他でもない私。





「……お母さん。私、生まれないほうがよかったかな」


ほとんど吐息のような言葉が、空気にまぎれて消える。



ぬくもりを感じているほうの手がぴくりと動いた。


「茅森────」



そんな花平くんの言葉を(さえぎ)り、



「そんなわけない!違う……そんなこと、
思ったことは一度もない!!」


声を荒げて感情を爆発させたのは、お母さんだった。


苦しげに胸の辺りを押さえ、涼しげな目を真っ赤にして泣いていて。




「愛してるに、決まってるじゃない……!」


初めて向けられた気持ちも、私と同じように震えていた。


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