不器用オオカミとひみつの同居生活。


それから時間をかけて少しずつ、お母さんは今まで秘めていた胸の内を明かしてくれた。



お母さんもお父さんも男の子を望んでいたのは本当だった。


お腹の中にいるのが私だってわかって残念に思ったのも本当。


そのときの感情を名前にしたのも……本当。



お母さんはそのあと産後うつになった。


私の名付けに後悔したのは、産後うつも治って陽向を身ごもったとき。



お父さんとお母さんは話し合って、名前のことは黙っておくことにしたらしい。


言わなきゃバレないって、そう思ってたって。



その通りでお母さんから教えてもらわなければ、私は一生気付かないままだったと思う。



そしてあの日……お酒が回っていたこともあり、お母さんは口を滑らせてしまったんだ。


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