不器用オオカミとひみつの同居生活。
私たちの間に足りないのは会話だった。
私も傷つきたくなくて、みんなを避けてた。
自分の身を守るための行為がさらに状況を悪化させてたなんて、あの頃の私は気付きもしなかった。
それだけ必死だったんだね。
私も、お母さんたちも必死だった。
それに、とお母さんに笑いかける。
「私、やっぱりお母さんの子供だったね。私もすっごい不器用だもん」
じゃなきゃ、お母さんたちとの関係をここまでこじらせることもなかったし。
お母さんはまた涙をこぼした。
「今まで辛い思いをさせて本当にごめんなさい。名前のせいで、これからも辛い思いをさせてしまうかもしれないけど、改名も……」
「ううん、改名はしない」
お父さんとお母さんがつけてくれた名前には違いないから。
私はこの名前と一緒に生きていきたい。