不器用オオカミとひみつの同居生活。
毒と蜜
それからまた平穏な日常に戻って、
私と花平くんはかわらず一つ屋根の下で生活していたのだけれど。
一つ、問題があった。
「おかしい」
お風呂上がりのレモネードはおいしいけど、おかしい。
花平くんはいまお風呂に入っている。
その時間が、私の心が波立たない唯一の休息ポイントだった。
片手にレモネードの入ったコップを持って椅子に腰かけた。
「花平くんが眩しく見える」
そりゃあ金髪だから多少は眩しいだろうけど、それだけじゃない気がする。
問題とは、何を隠そう私の心の変化で。
気付いたら花平くんのことを考えるようになった。
今日のご飯美味しかったかな、とか。
今スマホで何見てるんだろう、とか。
でもつねに考えてるわけじゃなくて、ぼーっとしてるときにふと思い浮かぶ。
それでも前に比べたら、花平くんが頭の中に居座っていることが多くなった。