不器用オオカミとひみつの同居生活。
「ま、これで課題出さずに済むんじゃねーの」
「何言ってるんですか?課題は課題ですよ。
加点されるんですから、ちゃんと出します」
「真面目か」
これが常識ですよ、と声に出さずに返す。
私がテストで手を抜いていた…というか、力が入らなかった理由。
それは、何を隠そう自分の名前が貼り出されるのが嫌だったから。
それだけのこと。
今思えば、なんでそんなことで成績を下げるような真似をしていたんだろうって少し後悔してる。
「頑張ったな」
「はい。……えへへ」
頭を撫でられても我慢してたけど、けっきょく顔を緩めてしまう。
単純な女だ。
わかっていても引き締まることはなかった。