不器用オオカミとひみつの同居生活。


「さて、そろそろ入りましょうか」


2人で部屋に戻り、床に敷かれた花平くんの布団を見て、ふと思う。



そういえば最近、花平くんは昼寝をしなくなった。

たまにならあるけど、前みたいにぐうぐう眠りこけてる姿は見ない。


それに夜も自分の布団で寝るようになったし。


なんでだろう。



朝起きて、隣に花平くんがいないことに違和感しか感じなくて。

少し離れた布団のなかで眠っているのを見てモヤッともした。




この日も例に漏れず。


「じゃ、寝る」

「あ、はい……おやすみなさい」



それぞれ寝床について照明を消す。



時計の秒針だけが響く、静かな空間。


私はしばらく経っても寝られなくて、
何度もぎゅうっと目を瞑ってみる。


そんなことをしても、目は余計に冴えていく一方で。



シングルベッドがなぜか広く感じた。


< 275 / 403 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop