不器用オオカミとひみつの同居生活。
暗がりのなか、ちらりと花平くんを確認する。
こちらに背を向けていて表情は分からなかったけど、もう寝てるんだろうな。
あれだけ『入ってくるな』って突っぱねてたのに、こうもあっさり引かれたらモヤモヤする。
「花平くん」
返ってくるのは静寂。
確認するまでもなく、花平くんはもう夢の中だ。
私も早く寝よう。
花平くんから視線を外し、寝返りをうって目を閉じる。
「……もう一緒に寝てくれないんですか」
意識するまでもなく口をついてでた言葉は、
誰にも知られず消えていく。
──────はずだった。
「……お前、さすがにそれはねーわ」