不器用オオカミとひみつの同居生活。


「ん、えっ……!?」


聞こえてきた声に目を開けると同時、
ベッドが軋んで音を立てた。


それは何かの合図のようで、目を見張って私の上にいる花平くんを見上げる。



夢?

ううん、夢じゃない。


ベッドに押しつけられた手首が熱かった。


月明かりが差し込んで、花平くんの横顔を淡く照らす。


まるでスポットライトが当たったように、光に反射して色付く瞳。

深い海のような双眼はまっすぐに私を見ていた。



「……綺麗」


自分がどんな状況かも忘れて、目の前の光景に心を奪われる。


緩んだ手をそっと頬に伸ばした。




「俺と寝てーの?」

「へっ、……わっ、」


そんな手もすぐに捕らえられて、首元に顔をうずめられる。


チクリ。

小さな痛みが甘く痺れるように広がっていく。


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