不器用オオカミとひみつの同居生活。
「そ、そっちの意味じゃ……」
「そっちって何?」
どんどん墓穴を掘っていくさまに、
くすりと笑われた。
「ほんと、おもしれーやつ」
「確信犯……っ」
「どっちが」
さっきまでの雰囲気は何だったんだろうってほど、ゆったりとした空気が流れて。
布団に入ってきた花平くんがいつものように腕をまわした。
「もう俺なしじゃ寝られねー身体になってんだ」
色々と語弊のある発言だけど、すべてを否定できるわけでもなかった。
ほんとダメだ。堕ちていっちゃう。
抜け出せなくなるくらい深く、
花平くんにはまってしまう。
「おやすみ、茅森」
甘いような切ないようなその声に、身を委ねて目を閉じる。
さっきまで眠れなかったのが嘘のように。
睡眠薬よりもずっと効果的な花平くんのぬくもりを感じながら、今度こそ眠りについたのだった。