不器用オオカミとひみつの同居生活。




夢を見た。


内容は覚えてないけど……季節でいうなら、春。

色でいうなら、暖色。

食べ物でいうなら、甘いもの。


幸せがいっぱい詰まったような夢を見るのは久しぶりだった。




だから目が覚めたときも、すごく惜しくて。

でも目の前にある花平くんの顔を見てさらに幸せになる。


「ん……はなひらくん、」

口から出た言葉は、思った以上にふわふわしていた。


寝起きということもあって舌も回らない。


毎回、寝ているようで起きているという特技を見せる花平くんは、今回は本当に寝ているようだった。



かすかに波打つ背中にそっと手をまわして、その胸に顔を寄せる。



「……あったかい」


花平くんはたまに私を湯たんぽ代わりにするけど、その逆もしかり。


冷え性だからってつねにひんやりしてるとはかぎらなくて、寝ているときは温かくなることを私は知っている。



いつも好き放題されてるんだから、これくらいは許されるよね?


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