不器用オオカミとひみつの同居生活。
うつらうつらしていた私を現実へと引き戻したのは、スマホの着信音だった。
「はい、もしもし」
『やっほーカヤ!』
相手も確認せず電話に出たら、聞き慣れた声が眠気を吹っ飛ばしてくれた。
「あ、すうちゃん?」
『ちょっとその声、もしかしてずっと寝てたの?もうお昼だよ?』
「……わ、ほんとだ」
壁掛け時計は正午を回っていて、起き上がってベッドのふちに腰かける。
花平くんは寝たままだったから、声のボリュームに気をつけなきゃ。
『ねぇ明日空いてる?映画行こうよ』
「映画?うん、いいよ。どれ?」
『いま公式サイトのリンク送ったから見てみて』
その言葉通りに送られてきたリンクを指でトンと触れた。