不器用オオカミとひみつの同居生活。


あ、恋愛映画なんだ。


どうやら幼なじみとの恋を描いたものらしく、


《幼なじみは結ばれる運命にあるのです》

というキャッチコピーが目に入った。



「へー面白そう」

『でしょ?ていうかカヤが恋愛映画に興味示すなんて、めずらしいね』

「そうかな?」


近くに置いてあったコップに手を伸ばして水を飲む。

寝起きで乾燥していた喉が一気にうるおったようだった。




『もしかして花平のせい?』

「ぶっ」


『え、なんの音?』

「や、大丈夫」


ほんとは全然大丈夫じゃないけど、と口をぬぐう。

ベッドは濡れてないようでほっと胸をなでおろした。




すうちゃんには私の気持ちを話してある。


それだけじゃなく。
私の家のことも、名前にコンプレックスを抱いていたことも打ち明けていた。


さらに驚いたのは、花平くんへの気持ちを話したらこっちゃんとの出来事も全部言い当てられたこと。



『ごめんね。気付けなくてごめんね』


『すうちゃん……っ私こそ、黙っててごめんなさい』


『カヤは何も悪いことしてない。何でもかんでも自分のせいにしないで、1人で抱え込まないで。それに、カヤはカヤよ。カヤでも憂でもそれは同じ』


茅森憂はたったひとりのすうの大切な親友だ、って。


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