不器用オオカミとひみつの同居生活。


その後も、話に熱が入っちゃって10分くらい会話していた。


すうちゃんも私も無類の映画好き。

映画鑑賞が趣味だということは周りには内緒で、情報交換するのが私たちのひそかな楽しみなのだ。



いまは、
私がこの前に観た洋画について話している最中。

……だったんだけど。



「そう、それでね…… ────、んっ!?」





いきなり、キスをされた。


もちろんこの部屋には私と……
花平くんしかいなくて。



「っは、……ちょっ」


なんとか胸を押し返して、一瞬だけどキスから逃れることができた。

けれどまたすぐに唇をふさがれてしまう。



『カヤ?どうかした?』

「な、なんでもな……っ!」


さすがに異変を感じたのかスマホの向こうからそんな声が聞こえてくるのに、それすら返させてくれない。


すうちゃんには、花平くんと一緒に住んでいることだけは言っていなかった。




「ごめんっまたあとでかけ直す!」


ドンッと強めに押し返し、早口でそう伝えて一方的に電話を切った。


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