不器用オオカミとひみつの同居生活。
「は、花平くん!……っんぅ、」
文句を言うべく振り返ったのに、あっけなくベッドに押し倒されてしまう。
手からスマホがすべって床に落ちた。
意味がわからなかった。
今回のキスは何が原因?
怒る要素、どこかにあった?
考える暇もないまま深くなっていくから、もはや酸欠状態で。
視界いっぱいに映る花平くんの顔は、悲しんでいるようにも怒っているようにも見えない。
一度離れた花平くんと目が合った。
「…っな、んで……?」
「電話長すぎ」
唇をするりとなぞられる。
「は、それだけで……っんん、」
前からずっと思っていたことがあり、それはこの花平くんのキスの上手さ。
もちろん経験のなかった私は、他のキスなんて知らない。
だけど、それでも。
花平くんはすごく上手だと思った。