不器用オオカミとひみつの同居生活。
自分勝手で、優しくなくて、なのに蕩けるようなキス。
経験が豊富じゃないと、できるわけがない。
事実を突きつけられているようで胸が痛んだ。
しかも、
……電話が長すぎてキス、ね。
はいはいそうですか。
今回もそれなりの理由があって、わかっていてもさらに苦しくなる。
「…っは……花平くんは、キスが長すぎっ……!」
息も絶え絶えな私とは違って余裕そうなのがまた悔しかった。
せめてもの報いで唇を噛んでも、血が滲んでも、まったく気にする様子はなく。
むしろやり返される。
重ねられた唇は血の味がした。
苦しくて、ふわふわして、痺れて、甘い。
まるで毒のような花平くんとのキスはどこまでも心地よかった。