不器用オオカミとひみつの同居生活。
寝覚めのキス






文化祭も間近に迫り、これが年内ラストの行事だった。



A高の文化祭はそこそこ大規模で、他校からの人気も高い。


だから各クラスの出し物もそこそこの物になっていくわけで。


超リアルお化け屋敷や、家政科によるマグロの解体ショー、ミスコンや告白大会など、バラエティに富んだ出し物ばかり。



そして我が4組は、『白雪姫』で劇をすることになった。



演者は推薦制で、王子さまに選ばれたのはもちろん周くんだった。


花平くんも最終候補に入っていたらしいんだけど、
まあやってくれるわけがないよね、ということであえなく(?)落選。



そこまでは良かった。
私は裏方か衣装係にでも立候補するつもりだった。



けど……



「な、なななななんで!?」


あらためて渡された配役の紙。


裏方でも衣装係でもなく、演者のなかに私の名前はあった。

それも。





王子さま役:加瀬沢周

白雪姫役:茅森憂



何度見ても、王子さまの下、白雪姫の横に私の名前が。



私の記憶が正しければ、白雪姫は『白雪姫』の主役級の人物なんですけど……


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