不器用オオカミとひみつの同居生活。
「ごめんね。私なんかが相手じゃ不本意だろうけど、せいいっぱい頑張るから」
机を端に寄せた教室の真ん中で、音楽に合わせて足を運ぶ。
次の場面では前に出ないといけなかったのに、後ろに身を引いてしまった。
あっ、間違え……
「茅森ちゃんらしーや」
ぐいっと腰を引き寄せられて、なんとか合わせることができた。
そのかわり近づきすぎた距離に、あの男湯事件を思いだしてすこし恥ずかしくなってしまう。
いやいや、今思いだしたら終わりだって……ダンスに集中しよう。
「不本意なんかじゃないよ。そんなの、思うわけねーじゃん」
重ねられた手に力が込められて、周くんの真剣な瞳からそれが本心だってことが伝わった。
「絶対成功させような。頑張ろう、茅森ちゃん」
「うんっ!」