不器用オオカミとひみつの同居生活。
こうして居残りレッスンがはじまったのだけれど、道のりはそう簡単ではなかった。
むぎゅっと周くんの足を踏んづけてしまった回数も数え切れなくて、そのたびに私は平謝りした。
周くんはもっと大変で、全体練習に、部活、そしてこの居残りと3つも掛け持ちしている。
それなのに疲れた様子なんておくびにも出さず、私の練習に延々と付き合ってくれた。
私が何度足を踏んでも、振りを間違えても、怒らずに励ましてくれる。
たぶんこんなに優しくなかったらとっくに心は折れていて、上達することもなかったと思う。
そのうち流れるように踊れるようになってきて、全体練習でもみんなから褒められた。
目立つことは苦手だけど向けられる笑顔はどれも優しくて、温かくて……
私と周くんも顔を見合わせて笑ったのだった。