不器用オオカミとひみつの同居生活。
「ありがとうございます。確認してきますね」
「男の店員はいないの?」
お礼を言って様子を見に行こうとしたら、さりげなく引き止められた。
「裏に1人いるにはいるんですが……」
「ならその人に頼んだほうがいいよ。何されるかわからないし」
お客さんはそう言ってそそくさと去っていった。
最後の一言がすこし引っかかり……
やっぱり私が行くことにした。
バックヤードで休んでいるのは御年70歳の山川さん。
年齢に関係なく仕事がデキる上に温厚な性格だからみんなに愛されている。
何かと気にかけてくれる山川さんが、私も大好きだった。
山川さんに何かあったらみんな悲しむ。
となれば、私が行くという選択肢しか残されていなかった。