不器用オオカミとひみつの同居生活。
「ごめんなさい」
私のせいで花平くんまで死んでいたかもしれないのに。
花平くんはまるで私の言葉が聞こえてないようだった。
「ありがとう花平くん……助けてくれて」
今度はふっと視線が向けられる。
「お前不幸に見舞われすぎ。どんな悪行積めば階段から突き落とされるんだよ」
突き落とされたわけじゃないんだけどな。
あれはたまたまそうなっただけで、足元を疎かにしていた自分にも非がある。
なんにせよ、1番の被害者は花平くんに違いなかった。
「いちおー頭は庇ったつもりだけど、大丈夫か?」
「はい、大丈────……夫じゃない、です。
頭は痛くないけど、全身の骨がミシミシ軋んでるみたい……」
だろうな、と包帯の上から腕を撫でられる。
「一番上から下まで落ちりゃ誰だってそうなるわ。つーか大丈夫以外に物言えんじゃん、お前」
「私もびっくりしました。というか、花平くんこそ大丈夫なんですか?絶対どこか折れてるでしょ」
「茅森がもー少し重けりゃ折れてたかもな」
「はは、そりゃあよかったです」
このときばかりは自分の体重に感謝した。