不器用オオカミとひみつの同居生活。



放課後、すうちゃんは予定があるからと先に帰ってしまった。


私はバイトもないからゆっくり帰る支度をして教室を出る。



廊下を歩いていると、人だかりができていて。

その人たちの視線の先にあるのは、大きく貼り出された一枚の紙。


30人の名前が横一列に載っているそれは、
成績上位者だった。

今回は学年末テストの結果が貼り出されている。


私の名前は……なかった。
ちなみにすうちゃんも探したけど、載ってなかった。

とはいえ後ろのほうしか見てないけど、たぶん上のほうに行っても載ってない。


普通科の生徒だけでも200人以上いるから、ここに名前が載るにはそれなりの努力が必要なんだろう。


ちょうど進行方向だったから、30番目の名前から流れるように見ていく。


たまに同じクラスの名前があるくらいで、
特に変わったことはない。


30,20, 10……


右へ右へと歩いていた私の足が止まった。






9位────花平綾人。



その名前は記憶に新しくて……
それを見た瞬間、すべて納得がいった。


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