不器用オオカミとひみつの同居生活。
「カヤちゃん」
喉に小骨どころか、背骨が引っかかっているような気持ちだった。
スマホのAI機能に聞いても「取れない場合はすぐに受診を」と近くの病院を勧められるだけ。
しかも五十渡病院だったから、さらに骨が太くなった気分になる。
「カヤちゃーん」
私、花平くんのお父さんに啖呵切ってしまった。
いや、啖呵……ではないのかな。
それでも物申してしまったことは事実で。
罪悪感を感じつつ……
『あいつの人生は終わってる。私の手には負えない』
悔しさと悲しみと怒りもやってくる。
そのループだった。
「カヤちゃーーーーん!!」
「ひっ」
耳元で大きな声を出されて、思わず飛び上がってしまった。
見れば、隣に店長が立っていて。
その顔は心配と呆れの両方を含んでいた。