不器用オオカミとひみつの同居生活。
「えらくぼーっとしてたけど、大丈夫?」
「……すみません」
久しぶりの深夜のバイトで、今はオーナーと店長と私の三人だけ。
お客さんはいなくとも、バイト中であることに変わりはない。
切り替えなきゃ。
「ごめんなさい。今すぐ飲み込みます」
「え、何か食べてるの?」
「いや、喉に骨が」
「骨?」
何でもないです、と言った私に店長はそうだ、と手を打った。
「ちょっとゴミ捨ててきてくれない?」
「おーい。こんな夜遅く女の子に頼むことかー?
カヤちゃん無理しなくていいよー」
奥でシフトを組んでいたオーナーの声が飛んでくる。
「いや、大丈夫ですよ。すぐ裏なのでちゃちゃっと行ってきます!」
バックヤードで倉庫の鍵と懐中電灯を探す。
鍵はすぐに見つかったけど、懐中電灯がどこにもなくて。
「オーナー。懐中電灯ってどこでしたっけ?」
「あれ、そこら辺になかった?ごめん、誰かが違うとこ置いたのかも」