不器用オオカミとひみつの同居生活。


お世辞にも整頓されているとはいえないバックヤードをあらためて見渡す。

この中から探し出すだけで力尽きてしまいそうだった。


結局スマホを使う許可をもらって、内蔵されているライトで照らすことにした。



コンビニを出て、ゴミ箱へと向かう。


分別をしているときにふと、どこからか視線を感じた。

でも誰もいなくて、ゴミ箱の横をのぞいても人の姿はない。



「……気のせい?」


視線をするすると下げれば、いくつかのタバコが踏み捨てられていた。

場所が場所なだけに、花平くんのことを思い出す。


もちろん花平くんが吸ったなんて思わない。

ただ……



「いま、何してるんだろう」


ぼうっと空を見上げても、星の一つもなくて。

ここに道しるべはないよ、といわれているようだった。


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