不器用オオカミとひみつの同居生活。
「カヤちゃん、もう時間だからあがっていいよー」
「ありがとうございます。お疲れ様でした」
この日のバイトは前回より少しはやく終わって、
23時を回る前に私はコンビニを出た。
今日の夜もずいぶん冷え込んでいた。
「……だから!凍え死にたいんですか?」
私がいの一番に向かったのはあの場所。
そう声をかけても、ゴミ箱にもたれかかっているその人は動かなかった。
もしかしてもう手遅れ?
だとしたら私は第一発見者になるの?
近くで確認すると生きていたからほっと胸をなで下ろす。
それでも身体の芯まで冷えて最悪の事態になるのは、時間の問題。
「はやく家に帰ったらどうですか。ネットカフェでもホテルでも友達の家でも、行くところはいくらでもあるでしょう?」
すうちゃんの言ってた噂があってるなら、こころよく泊めてくれる女の人たちもいるんだろうし。
こんな寒いところでじっとしているより、行くべき場所はたくさんあるはずだ。