不器用オオカミとひみつの同居生活。
「嬢ちゃん。夜の一人歩きは危ないって学校で教わらなかったか?」
「あなたたちも夜のピクニックが楽しそうでなによりです。お弁当はママ手作りのサンドイッチですか?」
すぐに「なんだと!」「このクソアマ!」なんて罵倒の雨あられ。
煽るくせに、煽られたらすぐ真っ赤になるところも同じ。
間違いない。
商店街で花平くんに喧嘩売っていた人たちだ。
「今すぐ花平を呼び出せ」
「……花平?」
「今さらとぼけても無駄だぜ。電話をかけてここに来るよう言え」
「いやです」
かけるわけがない。
そりゃあ私だって、通話ボタンの前でうんうん迷ってたときはあった。
拒否されたらどうしよう、って結局プライベートでもかけられないままだったのに。
なんでこんな場面でかけなきゃいけないんだ。
それに呼び出したあと、この人たちがどう動くかなんて容易に想像がつく。