不器用オオカミとひみつの同居生活。
幸せの花束を君に
君と一緒なら
*
美里は美しい瞳の持ち主だった。
だからといって共に生きることを決めたわけではない。
それ以上に。
瞳以上に美しい心を持っていた美里に、惹かれないわけがなかった。
立派な大人なのに、その笑顔は子供にも劣らない無邪気さで。
今もこうして、美里は隣で笑っているのだった。
さきほどまでなにかを書いていたかと思えば、うひゃあとたまげたような声を出す。
「ねえ、見てこれ。あらためて書き出したらとんでもなく複雑だった」
「なんでドイツ語なんだ」
「わはは、いつもの癖でつい」
絶対わざとだ。
渡されたメモには特有の走り書きが並んでおり、なぜかそのすべてがドイツ語だった。
もちろん自分も日頃から使っているので、なんなく解読することができたのだが……
その内容に思わず眉をしかめる。