不器用オオカミとひみつの同居生活。
ひとりきりの部屋にはテレビの音だけが響いている。
今日はクリスマスだからか、街角のカップルにインタビューをしているライブ中継が流れていた。
呼び止められたカップルは恥ずかしそうだったけど、それ以上に幸せそうにほほ笑んでいて。
見ているこっちが恥ずかしくなっちゃうくらい初々しかった。
『告白はどちらから?』
『俺からです。最初はただのクラスメイトだったんですけど、ある日────』
お風呂上がりの私は温かいココアを片手に、ドキドキしながらその受け答えを見守っていた。
どうやら外では雪がちらついているようで、雪のよく降るこの町では誰も気にしていないようだった。
肩や髪を真っ白に染めた彼女は、彼氏が全国にむけて話す自分たちの馴れ初めに、ほおを真っ赤に染めている。
そのうちコマーシャルに入ったので、今のうちにココアを飲みきろうと奮闘していたときだった。
────ピンポーン。
チャイムが鳴ったのは。
「はーい」
半分残っているココアを置いて玄関に向かう。
カギをまわしてドアをあけると、つめたい夜風がすこしだけ入り込んできて。
ほそめた目をすこしずつひらけば、目の前に広がったのは昨日みた空と同じ色。
前よりもずっとなじんでいるその色は、一瞬で私を慣れさせてしまう。
「……似合ってます」
──────花平くん。