不器用オオカミとひみつの同居生活。
お金持ちになる前。
お父さんと共働きでバリバリのキャリアウーマンだったお母さんは、たしかに前よりも生き生きしてるようだった。
私のワーカホリックの血は、もしかしたらお母さんから受け継いだのかも。
なんて、話を聞きながら苦笑した。
「お母さん、ありがとうね。私を産んでくれて」
いつか、言おうと思っていた言葉がぱっと口から飛び出した。
自分でもびっくりする。
このタイミングで?
……いや、このタイミングだからか。
電話の向こうで鼻をすする音が聞こえた。
何か声をかけようと口を開きかけたときだった。
「っ、ん……!?」
とつぜん降ってきたキス。
犯人はひとりしかいない。