不器用オオカミとひみつの同居生活。
店の外に出ると、冷たい夜風が一瞬にして身体に染み込んできた。
そっと吐いた息が店内から漏れる灯の中で踊って、消えていく。
どんな人が倒れているのか大体の予想はついていた。
十中八九、酔っ払いだろう。
きっと近くの飲み屋街でお酒を浴びるように飲んで泥酔したに違いない。
店前に設置されているゴミ箱の横に人影があった。
ゴミ箱に隠れて下半身しか見えないけど、スーツのようなズボンに革靴。
うん、やっぱり酔っ払ったサラリーマンだ。
こんな真冬にこんな場所で寝ていたら風邪を引くどころか、凍死してしまうかもしれない。
早く介抱してあげなければ。
『大丈夫ですか?』
『どこから来ましたか?』
心の中で数回練習して、
「すみません、お客様」とゴミ箱の横をのぞき込む。
「っ、」
思わず小さく息をのんだ。
目の前の光景に、もしかして読み間違えたのかと今さらながら身構えてしまう。
ギラギラの光を背に負って、ガラスにもたれかかるように倒れていたその人は。
蛍光灯に負けないくらい、
キラキラと輝く金色の髪をしていた。