不器用オオカミとひみつの同居生活。
けど、問題はそこからだった。
非常に重要な問題。
「こっち見ろよ」
「見てるじゃないですか」
「お前が見てんのは雪だるまだろうが」
ダメだ、やっぱり笑ってしまう。
だってまた着てくれるなんて思わなかった。
連れて帰ってきたのはいいけど、家にある男物の服はあいかわらずあれしかなくて。
ウケを狙っているとしか思えない、スノーマンのスウェット。
ダメもとで差し出したら意外にもすんなり着てくれたから、それすらもウケ狙いかと思ってしまった。
「明日にでも服を買いに行きましょうか」
「めんどくせぇ」
「じゃあ私が勝手に買ってきますからね。ショッピングひさしぶりだから服のセンス変わってるかもなあ、次はトナカイさんにしようかなぁ」
もちろん冗談だったけど、彼には効果てきめんだった。
「どっちにしろ一着じゃ足りないんだから観念してください」
舌打ちが聞こえてきそうなフキゲン顔。
そんなフキゲン顔に似つかわしくないスノーマン。
また彼に着てもらえて、スノーマンもどこか嬉しそうだった。
二つの意味で“きて”くれた花平くんは、見た目ほど悪ではないのかもしれない。