不器用オオカミとひみつの同居生活。


「実家の分は?」


ぐっと言葉に詰まる。


そうか、普通なら実家に預けてるよね。



「……渡してません」


実家に渡すなんて考えはこれっぽっちもなかったし、あの人たちももらったところでだろう。

渡すだけムダだから、今までは私が両方持っていた。



「ふーん」


花平くんもそれ以上は気にならなかったらしい。

鍵を指でもてあそんでいる姿も絵になっていた。


私はそんな彼を見ながら、すこしだけ心拍数が上がっていくのを感じたのだった。


< 43 / 403 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop