不器用オオカミとひみつの同居生活。
「実家の分は?」
ぐっと言葉に詰まる。
そうか、普通なら実家に預けてるよね。
「……渡してません」
実家に渡すなんて考えはこれっぽっちもなかったし、あの人たちももらったところでだろう。
渡すだけムダだから、今までは私が両方持っていた。
「ふーん」
花平くんもそれ以上は気にならなかったらしい。
鍵を指でもてあそんでいる姿も絵になっていた。
私はそんな彼を見ながら、すこしだけ心拍数が上がっていくのを感じたのだった。