不器用オオカミとひみつの同居生活。
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「はぁっ……ぅ、」
荒い息づかいが部屋の静けさをより強調させる。
生理的な涙をぬぐう余裕もなかった。
心臓はどくんどくんと音を立てて、
水分補給をしてもすぐに喉がカラカラになってしまう。
いまにも飛びそうな意識をなんとか繋ぎ、必死に花平くんを見上げる。
「は、はなひらく……っ、」
「……ちゃんと言えよ。じゃないとわかんねー」
い、意地悪。
声が出ないのわかってるくせに。
誰のせいだと思ってるの。
花平くんの体重でベッドが軋んだ。
かすれる声を振り絞って、顔を近づけてきた花平くんの耳元でささやいた。
「み、みず欲しい……お願い」
あと、あと……
「冷えビダがえで……」
まだ伝えたいことはあるのに、もう言葉が続かなかった。
氷枕も替えてほしい。
お願い持ってきて。
そこで私は力尽きた。