不器用オオカミとひみつの同居生活。
花平くんはベッドの近くに座って、ぜぇぜぇ喘ぐ私を冷静に観察していた。
「お前、身体よえーな」
「誰のせいだと……げほっ、ごほ」
……昨日、なかなか離してくれなかったから。
というかなんで花平くんはピンピンしてるの?
「神様……ふこうへ…、」
「あ?だから聞こえねーって」
マスクをしているから余計聞き取りにくいんだ。
身を乗り出してまで聞き取ろうとしてくれるのはありがたいけど、ベッドの傾きだけでもキツい。
「うっ、ぅ……すうちゃぁん」
意識するわけでもなく口から漏れた友人の名前。
連絡しようにもスマホは遠くて、手を伸ばさないかぎり届かない。
寒かった。とにかく寒かった。
悪寒が身体の中を駆けずり回っている。
体温はどんどん上がっていってるのに、身体の奥はゾクゾクと寒い。
『神様は不公平だ』
心の中で反芻しながら目を閉じる。
ほとんど意識を失うように、私は夢の中へと落ちていった。