不器用オオカミとひみつの同居生活。


すうちゃんは周くんが去ったあと、意味ありげに顔を近づけてきた。



「やっぱり加瀬沢ってカヤのこと意識してるよね!」

「周くんが私のことを意識?」


それって異性として意識するとかの、あの意識?



「それはないよ。だって周くん人気者だもん」

「カヤも加瀬沢のこと、あまねって名前で呼んでるし」



すうちゃんの言葉で、私は4月の入学したての頃を思い出す。


席替えではじめて隣になったのはすうちゃんだったけど、それよりも前。



本当に最初に隣の席になったのは、苗字が近い周くんだった。


そのときからすでに溢れるオーラが明色でキラキラしてて、私とは違う世界の人だなっていうのが第一印象。


自己紹介をする前、隣で提出物のプリントに名前を書いていた姿をなんの気なしに眺めていた。


名前欄にあった“加瀬沢周”の“周”だけがどうしても読めなくて、

『しゅう……?』と思わず口に出してしまった私に、周くんが『あまねだよ』って訂正してくれたところから話すようになったんだっけ。


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