不器用オオカミとひみつの同居生活。


いつだって周くんのまわりには人だかりができていた。


男女問わず学校で一番の人気者だと言っても過言ではなくて。

誰にだって優しくて話しかければ聖徳太子ばりに返事をしてくれる。


太陽神の周くんは、確実にA高になくてはならない存在だった。



「カヤとお似合いだと思うんだけどなあ」

「まだ言ってる」


その光景を見ていたすうちゃんは、突然くるりとこちらに向き直った。



「そういえばさっ、前に好きなタイプは加瀬沢って言ってなかった?」

「誰が?」

「あんたよ」

「ええ……言ったっけ」


すうちゃんと恋愛の話をしたこともあったけど、わたしもすうちゃんも彼氏はいないから深くまで話したことはなかった。


でもたしか、好きなタイプの話はしたような気がする。


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