不器用オオカミとひみつの同居生活。


そのときに周くんの名前を出したかは覚えてない、けど。


もう一度周くんのほうに目を向けてみる。


何の手も加えていない黒髪に、どこまでも透き通っている瞳。

周くんは誰もが認めるイケメンだ。


いつもは元気な周くんがふとした瞬間に見せる大人びた顔つきには、さすがに少し見とれてしまった……こともあったと思う。



「……うーん、たしかに顔はタイプかなぁ」


あと私が犬派だってこともある。

性格も相まって周くんがたまにワンコっぽく見えてしまうのは、本人には内緒。



「きたきたきた!」


きゃー!となぜか興奮して机をばんばん叩くすうちゃん。



「さいっこうの組み合わせ。もうこれしか考えられない」

「そういうすうちゃんはどんな人がタイプなの?」

「え、すう?すうのことはいいじゃん」


すうちゃんの視線が泳ぐ。



「でも気になるよ。教えてほしいな」

「んー……すうは~……すうは、こんな人!」


すいすいとスマホを操作して、その画面を見せてくれた。


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