不器用オオカミとひみつの同居生活。


じとっと疑うような目つきですうちゃんが見てくる。


「……もう入れたりしてないよね?もしかしてまた、」

「してないしてない!」


危ない。
やっぱり言わなくてよかった。



すうちゃんは写真の中の花平くんをニコニコしながら見つめていた。


「どう?イケメンじゃない?性格は噂で聞いたぐらいしかわからないけど、顔だけならトップレベルで好きだな」


私もそれには心の中で「たしかに」とうなずいた。

好みかどうかは置いといて、整った顔立ちだとは思う。


「それにこの桃花眼がまたえっろいの!」

「と、桃花眼?」


聞きなれない単語だ。

スマホでぽちぽち調べれば、桃花眼とは
『色っぽくて、異性を虜にする眼』だそうで。

たしかに至近距離で目が合ったとき、色気を感じたような感じなかったような。



ただもうすこし表情があればな、って。


いや、人のこと言えないか。

花平くんほどではないけど、私もなかなかに表情がとぼしい自覚がある。


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