不器用オオカミとひみつの同居生活。


すうちゃんがスマホを置いてうーんと伸びをした。


「あーあ、はやく学校来てくれないかな」

「たぶん今日も来ないよ、花平くん」

「だよねー。って、なんでわかるの?それに今日“も”って」


するどいすうちゃんは刑事のような反射神経で聞き返してきた。


しまった。

家でまだ寝てるのを見てたから思わず答えちゃった。



「え、えっと……いつも来ないんでしょ?
だから今日も来ないのかなー、って」


苦しまぎれのひと言をなんとか信じてくれたようだった。


そのまま違う話題うつったから、私はほっと胸をなで下ろした。



どうやら花平くんが学校に来たらすぐにわかるらしい。

その理由は良い意味でも悪い意味でも校内がざわつくから。



結局、この日も学校に来ることはなく。


家に帰ると、腕にあたらしい生傷をつけた花平くんが朝と同じ場所で寝ていたのだった。


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